No.41


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探鉱者
!現パロ

――此処が俺たちの家だよ
 ふと少女は目を覚ました。枕元にある目覚まし時計を止めて伸び上がる。少女は隣で寝ている男――ノートンを起こさないように忍び足で寝室を出ていく。与えられた自分の多くない荷物を押し込まれた部屋にある衣類にに着替えて脱衣所へと向かう。昨夜来ていた普段着やら寝間着やらタオルやらをため込んだ洗濯機に洗剤と柔軟剤を入れてスイッチを入れる。リビングの電気を点けて、トースターに食パン二枚を入れた。このトースターは最近ノートンが買ってきてくれたものだ。コーヒーメーカーに市販の豆と水をセットして、水切棚から弁当箱をとる。朝食とお弁当作りだ。初めてこの家に連れてこられた時と比べて随分手際良くなったと少女は自分で自分を褒める。
 お弁当が出来上がる頃になるとノートンが眠たそうな目を擦りながら起きてくる。おはようと少女が笑いかけるとノートンがおはようと返事をする。極めて自然に挨拶が出来るようになったのはいつからだったか。脱衣所から出て来たノートンはマグカップにコーヒーを入れる。焼きあがったトースターを取り出して、二枚ともにバターを塗る。少女はノートンが出してくれた皿に目玉焼きをそれぞれ乗せた。包んだ弁当を食卓の上に置く。二人で向かい合って手を合わせて頂きますをする。
 ノートンがリモコンを押してテレビを点ける。テレビに映し出された人たちが、今日はキャンプ用品を紹介するコーナーだ。トースターを齧る音がする。今日は帰り早いかも、とノートンが言うので、そうなんだと言葉を返す。少女の頭の中で、今日一日の段取りをする。天気予報は今日一日快晴であることを告げている。天気が良いから敷布団を日に当てるのも良いだろう。
 テレビをぼんやりと眺めながら朝食を食べ終える。ノートンは弁当を鞄に入れた。

「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい」

 玄関で口付けを交わす。ノートンは名残惜しそうに少女の頬を撫でる。少女が行かないの、と尋ねればほんの少し悲しそうな眼をして外へと出た。扉が閉まる。少女はノートンが鍵をかけていないことに気が付いた。少女は一度ドアノブに手をかける。扉を開けようと力を込めたが、動きを停止させる。少し考えたあとに少女は扉に鍵を自らかけた。踵を返し、回り続けている洗濯機の前へ立つ。残り数分ほどで洗濯が完了する。一度離れてリビングへと向かった。テレビの中で清楚なアナウンサーが今日の天気を話している。少女は遮光カーテンの裾を摘まみ、ほんの少しだけ隙間を作る。挿し込んだ光はフローリングに細い道を作らせた。カーテンの隙間から覗いた青空はどこまでも広がっている。すいと鳥が横切って影を一瞬だけ作る。洗濯機が洗濯が終わったことを告げる電子音を上げた。少女は洗濯機に駆け寄った。洗濯籠に洗いたての洗濯物を入れる。石鹸の良い香りと柔軟剤の華やかな香りが鼻腔を擽る。少女はこの匂いが好きだ。ほんの少しだけ幸福な気持ちになる。濡れた衣類を日当たりのよい部屋にある、物干しスタンドに干していく。もう一つ物干しスタンドを取り出し、籠った匂いのする寝室から布団を取り出して干した。部屋に掃除機をかけるともう昼頃だ。少女は昨夜の残りを温めて昼食を終わらせる。
 少女が携帯を見るとノートンからの連絡は入っていない。もしかしたら忙しいのかもしれない。洗物を済ませて洗濯物を畳めばほんの少しの何もない時間ができる。少女は行儀悪くも寝転び、携帯に入れているパズルゲームを起動して時間を潰していく。少女にとって携帯とはノートンと定期的な連絡を取るツールであり、パズルゲームをする為のおもちゃだ。
 夕方ごろに、少女は冷蔵庫の中身を確認する。鶏肉と豆腐がある。サラダに使えそうなレタスやトマトもある。
 最近本当に便利になったものだ。ノートンが仕事帰りにスーパーに寄らなくても、必要なものを買うことが出来る。お金の受け渡しをしなくてもカードで決済ができる。荷物の受け渡しも専用のボックスに入れてもらうことが常なので、人に会わなくて済む。本当に便利になったねぇとノートンがシチューを啜りながら本当に嬉しそうに笑ったのはいつだったか。少し寂しい、という一文を音にしようとする前に蓋をしたのはいつだったか。
 少女がこの狭い部屋で暮らすようになってからそれなりの月数が過ぎた。部屋の中であれば目をつぶっても歩くことが出来る。それほどまでに少女はこの世界にいる。今やこの部屋こそが彼女の世界だ。彼女の全てだ。
 何もかもが慣れてしまった。慣れとは恐ろしいものだ。
 少女は台所に立ち、食事の準備をする。タマネギ、ニンジン、ジャガイモを洗って切り、一度ボウルに入れておく。牛肉を取り出し、切ってから鍋で焼き色を付ける。鍋に野菜を入れてまた過熱をし、水を入れて沸騰させる。アクを除きつつ煮込んでいく。暫くしてからルウを入れた。とろみがついた頃に火を止めて少女は時計を見る。そろそろノートンが帰ってくる時間だ。少女は玄関を見る。視線の先には施錠された扉があるだけだ。その向こう側で誰かの足音が近づいては離れていく。少女は隣にどういった人たちが住んでいるのか知らない。その向こう側の景色がどんなものか知らない。そもそもこの家はどこにあるのかも解らない。少女は玄関に近付いた。玄関の隅で佇むオリーブ色のスーツケースはうっすらと埃を積もらせている。海外旅行や一週間以上の旅行をするのならば丁度良いサイズのものだ。旅行に行くこともないのだから捨ててしまえば良いのにノートンは捨てることも人に譲ることもしない。そのうち、またスーツケースに入れられて新しい家に移るのだろうか。別段今の住処に思入れがあるわけではないが、嫌だな、と素直に思う。
 ふと、少女の思考に考えてはいけないことが顔を出す。
――もしも今、靴を履いて外に出たらどうなるのだろうか?
 少女はゆっくりと自身の足より大きな突っ掛けに足を通す。
 集合住宅のようだから、歩き回れば何かしらの店には辿り着くことが出来るだろう。どこに電話をかけよう。電話帳など少女の頭の中に入っている訳がない。ならばこの場所から遠くに行けるだろうか。いや、この家には金銭的なものがどこにあるか少女は知らない。何か金目のものはあっても身分を証明できるものを持っていないのですぐに換金は不可能――
 鍵穴に鍵が刺さる音が思考回路をぶつ切りにした。連絡通り今日は帰りが早い日だ。慌てて少女は突っ掛けを脱いで床板に上がる。ほぼ同時に扉が開いた。玄関で突っ掛けの片方が転んでいる。

「お、かえりなさいっ」

 吃音りながらも少女は言った。不自然に見えないだろうか。両手を後ろにやって口の端を上げる。ノートンが驚いたような顔をして瞬きをする。

「ただいま」

 ノートンが眦を蕩けさせた。少女はぎこちなく笑いながら、温めてくるねと台所へと逃げ込んだ。
 鍋を温めてパンを焼く。ノートンが冷蔵庫からレタスとトマトを取り出し、サラダを作ってくれた。朝と同じように食卓を囲む。食事を終えればノートンが皿洗いをしてくれる。少女は風呂の準備をした。
 テレビには環境動画が流れている。白い砂浜にエメラルドグリーンの海が映し出されている。いかにもバカンスにふさわしい場所だ。水着姿の観光客が何かインタビューを受けている。美しい景色だ。確か小さな貝殻を拾ったり海に潜ったりして遊んだ覚えがある。楽しかった思い出だ。

「また行きたいな」

 何気なく少女の唇は音を紡いだ。ノートンは答えない。少女は瞬時にしまった、と思った。ひやりと冷たいものが少女の背中に落ちる。大切にしていた記憶が脳裏で再生される。青い海、白い雲、自身と目の前の男以外の人物の笑い声。どく、どく、と心臓が声を上げる。少女は手を握りしめた。

「行ったこと、あるの?」

 ノートンの静かな声、少女は意図的に瞬きをする。一緒じゃなかったっけ、と少女は確かめる振りをする。ノートンは僕じゃないなあと答える。それはそうだ。
 とん、と少女の眉間にノートンの指の腹が押し付けられる。少女の思考がぶつりと途切れた。感情の読み取れない真っ暗な目が少女を射る。何も答えられず、少女は狼狽える。突然風呂が沸いたことを知らせるアナウンスが鳴った。少女はわずかに肩を跳ねさせたがノートンは何の反応も見せない。

「……親御さんと行ったのかな」

 何の感情もない声だ。少女の背筋に冷たい汗が滑り落ちる。乾いた感覚から逃げたくて、意図的に少女は唾液を呑み込む。

「そ、う……家族で行ったの、小さい頃に」

 嘘を吐いた。生きてて何度目の嘘だろうか。この世界に放り込まれてから何度目の嘘だろうか。
 そうなんだ、とノートンが言う。ノートンの指が遠のく。触れられた箇所は大して押されていた訳でもないのにじん、と痺れている。少女はお風呂に入るね、と言ってその場から走り去る。残されたノートンはソファから窓を見た。カーテンとカーテンの隙間から月が見えている。ノートンはそれを目敏く見付けた。窓辺に近寄り、分厚いカーテンの裾をひっ掴む。外界から内側が見えないようにきっちりと閉めた。


2023/07/30
『ふたりのシナリオ』2020/12/25発行
!現パロ

――此処が俺たちの家だよ
 ふと少女は目を覚ました。枕元にある目覚まし時計を止めて伸び上がる。少女は隣で寝ている男――ノートンを起こさないように忍び足で寝室を出ていく。与えられた自分の多くない荷物を押し込まれた部屋にある衣類にに着替えて脱衣所へと向かう。昨夜来ていた普段着やら寝間着やらタオルやらをため込んだ洗濯機に洗剤と柔軟剤を入れてスイッチを入れる。リビングの電気を点けて、トースターに食パン二枚を入れた。このトースターは最近ノートンが買ってきてくれたものだ。コーヒーメーカーに市販の豆と水をセットして、水切棚から弁当箱をとる。朝食とお弁当作りだ。初めてこの家に連れてこられた時と比べて随分手際良くなったと少女は自分で自分を褒める。
 お弁当が出来上がる頃になるとノートンが眠たそうな目を擦りながら起きてくる。おはようと少女が笑いかけるとノートンがおはようと返事をする。極めて自然に挨拶が出来るようになったのはいつからだったか。脱衣所から出て来たノートンはマグカップにコーヒーを入れる。焼きあがったトースターを取り出して、二枚ともにバターを塗る。少女はノートンが出してくれた皿に目玉焼きをそれぞれ乗せた。包んだ弁当を食卓の上に置く。二人で向かい合って手を合わせて頂きますをする。
 ノートンがリモコンを押してテレビを点ける。テレビに映し出された人たちが、今日はキャンプ用品を紹介するコーナーだ。トースターを齧る音がする。今日は帰り早いかも、とノートンが言うので、そうなんだと言葉を返す。少女の頭の中で、今日一日の段取りをする。天気予報は今日一日快晴であることを告げている。天気が良いから敷布団を日に当てるのも良いだろう。
 テレビをぼんやりと眺めながら朝食を食べ終える。ノートンは弁当を鞄に入れた。

「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい」

 玄関で口付けを交わす。ノートンは名残惜しそうに少女の頬を撫でる。少女が行かないの、と尋ねればほんの少し悲しそうな眼をして外へと出た。扉が閉まる。少女はノートンが鍵をかけていないことに気が付いた。少女は一度ドアノブに手をかける。扉を開けようと力を込めたが、動きを停止させる。少し考えたあとに少女は扉に鍵を自らかけた。踵を返し、回り続けている洗濯機の前へ立つ。残り数分ほどで洗濯が完了する。一度離れてリビングへと向かった。テレビの中で清楚なアナウンサーが今日の天気を話している。少女は遮光カーテンの裾を摘まみ、ほんの少しだけ隙間を作る。挿し込んだ光はフローリングに細い道を作らせた。カーテンの隙間から覗いた青空はどこまでも広がっている。すいと鳥が横切って影を一瞬だけ作る。洗濯機が洗濯が終わったことを告げる電子音を上げた。少女は洗濯機に駆け寄った。洗濯籠に洗いたての洗濯物を入れる。石鹸の良い香りと柔軟剤の華やかな香りが鼻腔を擽る。少女はこの匂いが好きだ。ほんの少しだけ幸福な気持ちになる。濡れた衣類を日当たりのよい部屋にある、物干しスタンドに干していく。もう一つ物干しスタンドを取り出し、籠った匂いのする寝室から布団を取り出して干した。部屋に掃除機をかけるともう昼頃だ。少女は昨夜の残りを温めて昼食を終わらせる。
 少女が携帯を見るとノートンからの連絡は入っていない。もしかしたら忙しいのかもしれない。洗物を済ませて洗濯物を畳めばほんの少しの何もない時間ができる。少女は行儀悪くも寝転び、携帯に入れているパズルゲームを起動して時間を潰していく。少女にとって携帯とはノートンと定期的な連絡を取るツールであり、パズルゲームをする為のおもちゃだ。
 夕方ごろに、少女は冷蔵庫の中身を確認する。鶏肉と豆腐がある。サラダに使えそうなレタスやトマトもある。
 最近本当に便利になったものだ。ノートンが仕事帰りにスーパーに寄らなくても、必要なものを買うことが出来る。お金の受け渡しをしなくてもカードで決済ができる。荷物の受け渡しも専用のボックスに入れてもらうことが常なので、人に会わなくて済む。本当に便利になったねぇとノートンがシチューを啜りながら本当に嬉しそうに笑ったのはいつだったか。少し寂しい、という一文を音にしようとする前に蓋をしたのはいつだったか。
 少女がこの狭い部屋で暮らすようになってからそれなりの月数が過ぎた。部屋の中であれば目をつぶっても歩くことが出来る。それほどまでに少女はこの世界にいる。今やこの部屋こそが彼女の世界だ。彼女の全てだ。
 何もかもが慣れてしまった。慣れとは恐ろしいものだ。
 少女は台所に立ち、食事の準備をする。タマネギ、ニンジン、ジャガイモを洗って切り、一度ボウルに入れておく。牛肉を取り出し、切ってから鍋で焼き色を付ける。鍋に野菜を入れてまた過熱をし、水を入れて沸騰させる。アクを除きつつ煮込んでいく。暫くしてからルウを入れた。とろみがついた頃に火を止めて少女は時計を見る。そろそろノートンが帰ってくる時間だ。少女は玄関を見る。視線の先には施錠された扉があるだけだ。その向こう側で誰かの足音が近づいては離れていく。少女は隣にどういった人たちが住んでいるのか知らない。その向こう側の景色がどんなものか知らない。そもそもこの家はどこにあるのかも解らない。少女は玄関に近付いた。玄関の隅で佇むオリーブ色のスーツケースはうっすらと埃を積もらせている。海外旅行や一週間以上の旅行をするのならば丁度良いサイズのものだ。旅行に行くこともないのだから捨ててしまえば良いのにノートンは捨てることも人に譲ることもしない。そのうち、またスーツケースに入れられて新しい家に移るのだろうか。別段今の住処に思入れがあるわけではないが、嫌だな、と素直に思う。
 ふと、少女の思考に考えてはいけないことが顔を出す。
――もしも今、靴を履いて外に出たらどうなるのだろうか?
 少女はゆっくりと自身の足より大きな突っ掛けに足を通す。
 集合住宅のようだから、歩き回れば何かしらの店には辿り着くことが出来るだろう。どこに電話をかけよう。電話帳など少女の頭の中に入っている訳がない。ならばこの場所から遠くに行けるだろうか。いや、この家には金銭的なものがどこにあるか少女は知らない。何か金目のものはあっても身分を証明できるものを持っていないのですぐに換金は不可能――
 鍵穴に鍵が刺さる音が思考回路をぶつ切りにした。連絡通り今日は帰りが早い日だ。慌てて少女は突っ掛けを脱いで床板に上がる。ほぼ同時に扉が開いた。玄関で突っ掛けの片方が転んでいる。

「お、かえりなさいっ」

 吃音りながらも少女は言った。不自然に見えないだろうか。両手を後ろにやって口の端を上げる。ノートンが驚いたような顔をして瞬きをする。

「ただいま」

 ノートンが眦を蕩けさせた。少女はぎこちなく笑いながら、温めてくるねと台所へと逃げ込んだ。
 鍋を温めてパンを焼く。ノートンが冷蔵庫からレタスとトマトを取り出し、サラダを作ってくれた。朝と同じように食卓を囲む。食事を終えればノートンが皿洗いをしてくれる。少女は風呂の準備をした。
 テレビには環境動画が流れている。白い砂浜にエメラルドグリーンの海が映し出されている。いかにもバカンスにふさわしい場所だ。水着姿の観光客が何かインタビューを受けている。美しい景色だ。確か小さな貝殻を拾ったり海に潜ったりして遊んだ覚えがある。楽しかった思い出だ。

「また行きたいな」

 何気なく少女の唇は音を紡いだ。ノートンは答えない。少女は瞬時にしまった、と思った。ひやりと冷たいものが少女の背中に落ちる。大切にしていた記憶が脳裏で再生される。青い海、白い雲、自身と目の前の男以外の人物の笑い声。どく、どく、と心臓が声を上げる。少女は手を握りしめた。

「行ったこと、あるの?」

 ノートンの静かな声、少女は意図的に瞬きをする。一緒じゃなかったっけ、と少女は確かめる振りをする。ノートンは僕じゃないなあと答える。それはそうだ。
 とん、と少女の眉間にノートンの指の腹が押し付けられる。少女の思考がぶつりと途切れた。感情の読み取れない真っ暗な目が少女を射る。何も答えられず、少女は狼狽える。突然風呂が沸いたことを知らせるアナウンスが鳴った。少女はわずかに肩を跳ねさせたがノートンは何の反応も見せない。

「……親御さんと行ったのかな」

 何の感情もない声だ。少女の背筋に冷たい汗が滑り落ちる。乾いた感覚から逃げたくて、意図的に少女は唾液を呑み込む。

「そ、う……家族で行ったの、小さい頃に」

 嘘を吐いた。生きてて何度目の嘘だろうか。この世界に放り込まれてから何度目の嘘だろうか。
 そうなんだ、とノートンが言う。ノートンの指が遠のく。触れられた箇所は大して押されていた訳でもないのにじん、と痺れている。少女はお風呂に入るね、と言ってその場から走り去る。残されたノートンはソファから窓を見た。カーテンとカーテンの隙間から月が見えている。ノートンはそれを目敏く見付けた。窓辺に近寄り、分厚いカーテンの裾をひっ掴む。外界から内側が見えないようにきっちりと閉めた。


2023/07/30
『ふたりのシナリオ』2020/12/25発行
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非公式二次創作夢サイト。公式及び関係者様とは一切関係ありません。様々な友情、恋愛の形が許せる方推奨です。
R-15ですので中学生を含む十五歳以下の方は閲覧をお控えください。前触れも無く悲恋、暴力的表現、流血、性描写、倫理的問題言動、捏造、オリジナル設定、キャラ崩壊等を含みます。ネタバレに関してはほぼ配慮してません。夢主≠主人公です。
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