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Novel pkmn 今日はえいえんの最初の日(シンオウでウォロと再会/完結)
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tt5 !+さよならの練習を(男主とオフェンスが過ごす真夏の話/現パロ/完結)
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今日はえいえんの最初の日04

ウォロ
 {{ namae }}がウォロの元で暮らすようになってから数ヶ月が経った。明日の食事を気にすることもない、日銭を稼げないことに頭を悩ますこともない、病気や怪我に怖がることもない夢のような暮らし。コトブキムラで過ごしていた時よりもずっと便利なからくりがあるお陰で自由に使える時間も増えた。何かあっては恐ろしいからと{{ namae }}一人で出かけることは決してないが、ウォロとならあちこち出掛けさせてもらえる。テレビというからくりや雑誌で知り得た情報を実際にウォロと見に行ったことも多々ある。この時代に存在するものに触れることで、{{ namae }}も漸くどう足掻いても帰れないことを漸く理解し終えた。{{ namae }}は少しずつシンオウ地方の言葉や現代の振舞い方、価値観などを学び、身に着けるようになった。{{ namae }}にとってウォロは生命線だ。ウォロがいなければ{{ namae }}はきっと死んでいたし、最低限度の生活だって送れなかった。{{ namae }}はウォロと再会出来て本当に良かったし、感謝もしている。だが、これが正しいことなのかどうかは{{ namae }}には解らない。いつかウォロに良い人が出来たら、追い出されるのだろうと漠然とした未来を描いている。恋人や家族のように手をつないで出掛けることもあるが、関係性に名前はないのだ。
 いつも通りのお出かけ帰り、{{ namae }}とウォロは仲睦まじく手を繋いで帰路を歩む。今日の夕飯はどうしましょうかねと美しく笑う同居人に{{ namae }}は微笑む。冷蔵庫に魚の切り身があったことを思い出し、焼き魚ですかねぇと{{ namae }}は答える。ウォロは幸福そうに笑う。{{ namae }}のよく知っている幸せな日常だ。このまま続けば良いと思う反面、何時まで続くのだろうかと不安になる。
 辺りには帰りの人達で沢山だ。二人は雑談をしながら信号のある道路を横断する。{{ namae }}がふと足を止めた。ウォロは腕を引かれる感覚で、ようやく足を止めて振り返る。{{ namae }}は来た道を見ていた。{{ namae }}さん、とウォロが呼びかけたが反応はない。

「――待って、」

 突如として{{ namae }}はウォロの手からすり抜け、走り出した。背後からウォロの声がしたが{{ namae }}には聞こえていない。{{ namae }}は人にぶつかりながら、合間を縫いながら前進していく。

「ショウちゃん!」

 名前を叫びながら子供の肩をぐいと掴んで振り替えさせた。驚いたような顔をした少女は{{ namae }}を見る。その顔を、{{ namae }}はよく知っている。よく知っている人の顔に、悲しい程酷似している。

「ヒカリ、大丈夫?」

 友達なのか兄弟なのか、テルによく似た少年が少女に話しかけた。子供たちが互いの名前を口にする。知らない人の名前だ。{{ namae }}の手が震えながらも、少女の肩から離れる。ふらつきながらもゆっくりと距離を取った。鼻の奥がつんと痛む。へたり込んでしまいたいのを、泣いてしまいたいのを、{{ namae }}は懸命に堪える。

「ご、めんなさい。探している人に、よく似ていたから」

 子供二人が困ったように笑って気にしていないような事を言う。それではと言った切り、二人は{{ namae }}の方を見る事はない。あっという間に人込みに紛れて消えてしまう。

「{{ namae }}さん!」

 後ろから腕を引っ張られた。{{ namae }}は力に逆らうこともせず、ウォロの胸に身体を預ける。倒れてしまいそうだったので、却って良かったと{{ namae }}はぼんやりと思った。

「ショウちゃんと、テルくんがいたんです」

 {{ namae }}の声が震えていた。ウォロは静かに首を横に振る。解っている、{{ namae }}自身だって理解している。ここにあの二人はいない。この世界に、あれほど帰りたいヒスイ地方はどこを探しても存在しない。{{ namae }}の瞼の裏で、凄まじい速度で映像が映し出されては流れていく。現在の生活よりもずっと不便で不自由で楽しかった記憶だ。ぽろりと涙が零れる。ひとりであれば、生きるのに一生懸命でこんな感情を抱く暇なんてなかった。

「帰りたい、」

 喉がひぐりと震える。嗚咽を零しながら{{ namae }}は帰りたいと呻く。ウォロは静かにその小さな身体を抱き締める。それしか出来なかった。

2023/01/04
 {{ namae }}がウォロの元で暮らすようになってから数ヶ月が経った。明日の食事を気にすることもない、日銭を稼げないことに頭を悩ますこともない、病気や怪我に怖がることもない夢のような暮らし。コトブキムラで過ごしていた時よりもずっと便利なからくりがあるお陰で自由に使える時間も増えた。何かあっては恐ろしいからと{{ namae }}一人で出かけることは決してないが、ウォロとならあちこち出掛けさせてもらえる。テレビというからくりや雑誌で知り得た情報を実際にウォロと見に行ったことも多々ある。この時代に存在するものに触れることで、{{ namae }}も漸くどう足掻いても帰れないことを漸く理解し終えた。{{ namae }}は少しずつシンオウ地方の言葉や現代の振舞い方、価値観などを学び、身に着けるようになった。{{ namae }}にとってウォロは生命線だ。ウォロがいなければ{{ namae }}はきっと死んでいたし、最低限度の生活だって送れなかった。{{ namae }}はウォロと再会出来て本当に良かったし、感謝もしている。だが、これが正しいことなのかどうかは{{ namae }}には解らない。いつかウォロに良い人が出来たら、追い出されるのだろうと漠然とした未来を描いている。恋人や家族のように手をつないで出掛けることもあるが、関係性に名前はないのだ。
 いつも通りのお出かけ帰り、{{ namae }}とウォロは仲睦まじく手を繋いで帰路を歩む。今日の夕飯はどうしましょうかねと美しく笑う同居人に{{ namae }}は微笑む。冷蔵庫に魚の切り身があったことを思い出し、焼き魚ですかねぇと{{ namae }}は答える。ウォロは幸福そうに笑う。{{ namae }}のよく知っている幸せな日常だ。このまま続けば良いと思う反面、何時まで続くのだろうかと不安になる。
 辺りには帰りの人達で沢山だ。二人は雑談をしながら信号のある道路を横断する。{{ namae }}がふと足を止めた。ウォロは腕を引かれる感覚で、ようやく足を止めて振り返る。{{ namae }}は来た道を見ていた。{{ namae }}さん、とウォロが呼びかけたが反応はない。

「――待って、」

 突如として{{ namae }}はウォロの手からすり抜け、走り出した。背後からウォロの声がしたが{{ namae }}には聞こえていない。{{ namae }}は人にぶつかりながら、合間を縫いながら前進していく。

「ショウちゃん!」

 名前を叫びながら子供の肩をぐいと掴んで振り替えさせた。驚いたような顔をした少女は{{ namae }}を見る。その顔を、{{ namae }}はよく知っている。よく知っている人の顔に、悲しい程酷似している。

「ヒカリ、大丈夫?」

 友達なのか兄弟なのか、テルによく似た少年が少女に話しかけた。子供たちが互いの名前を口にする。知らない人の名前だ。{{ namae }}の手が震えながらも、少女の肩から離れる。ふらつきながらもゆっくりと距離を取った。鼻の奥がつんと痛む。へたり込んでしまいたいのを、泣いてしまいたいのを、{{ namae }}は懸命に堪える。

「ご、めんなさい。探している人に、よく似ていたから」

 子供二人が困ったように笑って気にしていないような事を言う。それではと言った切り、二人は{{ namae }}の方を見る事はない。あっという間に人込みに紛れて消えてしまう。

「{{ namae }}さん!」

 後ろから腕を引っ張られた。{{ namae }}は力に逆らうこともせず、ウォロの胸に身体を預ける。倒れてしまいそうだったので、却って良かったと{{ namae }}はぼんやりと思った。

「ショウちゃんと、テルくんがいたんです」

 {{ namae }}の声が震えていた。ウォロは静かに首を横に振る。解っている、{{ namae }}自身だって理解している。ここにあの二人はいない。この世界に、あれほど帰りたいヒスイ地方はどこを探しても存在しない。{{ namae }}の瞼の裏で、凄まじい速度で映像が映し出されては流れていく。現在の生活よりもずっと不便で不自由で楽しかった記憶だ。ぽろりと涙が零れる。ひとりであれば、生きるのに一生懸命でこんな感情を抱く暇なんてなかった。

「帰りたい、」

 喉がひぐりと震える。嗚咽を零しながら{{ namae }}は帰りたいと呻く。ウォロは静かにその小さな身体を抱き締める。それしか出来なかった。

2023/01/04
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