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Novel pkmn 今日はえいえんの最初の日(シンオウでウォロと再会/完結)
1 / 2 / 3 / 4 tt5 !+さよならの練習を(男主とオフェンスが過ごす真夏の話/現パロ/完結)
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可及的速やかなる解決法
ペパー!クリア後
ペパーに新しい友達が出来た。ただそれだけ。
久し振りにペパーに会った。クラスも違う上に少女は自ら会いに行こうとしたことがなかったので、全く会わなかった。渡されたチラシを少女は見て、ペパーを見る。久し振りにゆっくり話でもしないかと切り出したのはペパーだ。ペパーは何処か吹っ切れたような顔をしていた。少女は自室にペパーを招き入れた。
少女の部屋は実家と比べると物が少ない。それでもずっと昔からいるポケモンのベットは部屋の隅にあった。その辺に座ってて、とペパーに言って少女は窓を開く。冷たい風が部屋の中に入り込む。貰ったチラシはどうやら手作りのようで、チャンピオンと転校生が持ち歩いているポケモンと、イーブイの絵が書かれている。あの仲良し四人組のかと直ぐに理解が出来た。
「なぁ、他のヤツも部屋に入れてるのかよ?」
友達を部屋に入れることは別に問題でないのに、お母さんみたいなことを未だ言うんだなと少女はぼんやりと思う。ペパーだって他の人を入れてるじゃないと噛みつきたい気持ちをぐっと抑える。なぁ、と咎めるような口調に少女は鬱陶しそうに顔を顰めさせた。
「ほっといてよ。私だっていつまでも一緒とは限らないんだから」
吐いた言葉はペパーを傷付ける為の言葉だった。少女がペパーの親がもう既に亡くなっていたことは噂好きの生徒から聞いたことだ。
「……どういうことだよ」
どうだっていいでしょと突き放す言葉を吐いた。寂しさから当たるなんて本当に最低だと少女は下唇を噛む。
学校最強大会とでかでかとした文字が躍るチラシを見る。日時や条件が書かれている。先生とも戦えるなんてと少しだけ感動を覚える。だがそれも一瞬のことだ。
あの生徒会長も走り回って出来た大会だと風の噂で聞いた。ずっと傍にいた幼馴染があの転校生と友達になった。少女にとってはそれ以上でも以下でもないはずなのに、胃の辺りがじりじりと炙られている。ただのやきもちだ。学校内で仲良し四人組と言われている四人を見る度、ちくちくと気持ちが尖っていく。それと同時に、少女は自分自身に嫌悪感を覚える。ペパーとはただの幼馴染だ。しかもついこの間まで特段関わることもしていなかった。虫のいい話だと言われたらそうだろう。
あ、と言う間もなくプリントが風に攫われた。プリントはそのまま滑空し、少し離れた所に引っかかった。目いっぱい腕を伸ばせば届かなくはない。少女は窓から身を乗り出して、腕を伸ばす。
「やめとけよ。前それで怪我しただろ」
ペパーの小言は少女の耳を通り過ぎる。確かに似たようなことは灯台であった。だがそれはまだ十歳にもなっていない時の話だ。
あと少しと腕を伸ばす。指先にチラシが触れた。だが摘まむには少し遠い。あと少し、あと少しと少女は身を僅かに乗り出した。それが悪かった。
身体を支えるために窓のへりに置いていた手が滑った。がくんと身体が前方へ傾く。悲鳴すらもあげられない。こんな時に限ってスマホロトムは机の上だ。少女の脳内で恐るべき速度で予測される結果が導き出される。少女は咄嗟に目をきつくつぶった。
強い力が少女の肩を後ろへと引っ張った。少女の足が倒れ込まないように反射的に半歩さがったが、身体は強い力に従い後方へ倒れ込む。世界が回る。大きな音がした。思っていたような強い衝撃はいつまでも無い。少女はそうっと瞼を開けた。世界が傾いている。心臓がどくどくと動いている。少女は浅い呼吸を繰り返して、倒れているのだと漸く理解した。
「っぶねぇ……」
耳元で独り言のような声が聞こえた。ペパーに抱きすくめられている。恐らく引っ張った後で咄嗟に抱き留めたのだろう。小さい頃にもそんなことがあった。ペパーの腕から抜け出そうとペパーの胸元に手をやり、力を込めた、筈だった。思ったよりも力を込めた筈なのにびくともしない。ベストがあるとはいえ、そんなに硬いものだったかと少女は驚く。ペパーの手が少女の髪をさらりと撫でた。本人はマフィティフ相手にするのと同じつもりだったのだろう。だがその手の造りは、手付きは、まるで知らない人のようだった。
前のときはわんわん泣いていた記憶しかない。けれど体形については自分自身とさして大差なかった筈だった。それどころか、少女の方が幾ばくか背が高かった筈だ。
急激に少女の顔が熱くなる。心臓が先程とは違った理由で早鐘を打っている。密着したからだから、心音が伝わっていないか少女は不安に思った。
ふう、と溜息が聞こえた。腕が緩んだ、瞬間に少女はペパーの上から退いて走って部屋から飛び出した。ペパーの戸惑ったような声が聞こえたが、少女は振り切るようにして走る。ありがとうもごめんなさいも何も言えていない。それでも少女はただただ走るしか出来ない。記憶の中のペパーは幼馴染の男の子だった。少女の家やあの灯台で遊んでいた男の子だった。友達であり、家族であり、大切な人だった。
少女は寮から飛び出た。冷たい風が少女の身体を撫でる。少女はふらふらと歩く。泣きたい気持ちに駆られた。それでも少女は嘗てのように大声で泣くことはしない。まだその気持ちに、名前を付けたくなかった。
2022/12/25
!クリア後
ペパーに新しい友達が出来た。ただそれだけ。
久し振りにペパーに会った。クラスも違う上に少女は自ら会いに行こうとしたことがなかったので、全く会わなかった。渡されたチラシを少女は見て、ペパーを見る。久し振りにゆっくり話でもしないかと切り出したのはペパーだ。ペパーは何処か吹っ切れたような顔をしていた。少女は自室にペパーを招き入れた。
少女の部屋は実家と比べると物が少ない。それでもずっと昔からいるポケモンのベットは部屋の隅にあった。その辺に座ってて、とペパーに言って少女は窓を開く。冷たい風が部屋の中に入り込む。貰ったチラシはどうやら手作りのようで、チャンピオンと転校生が持ち歩いているポケモンと、イーブイの絵が書かれている。あの仲良し四人組のかと直ぐに理解が出来た。
「なぁ、他のヤツも部屋に入れてるのかよ?」
友達を部屋に入れることは別に問題でないのに、お母さんみたいなことを未だ言うんだなと少女はぼんやりと思う。ペパーだって他の人を入れてるじゃないと噛みつきたい気持ちをぐっと抑える。なぁ、と咎めるような口調に少女は鬱陶しそうに顔を顰めさせた。
「ほっといてよ。私だっていつまでも一緒とは限らないんだから」
吐いた言葉はペパーを傷付ける為の言葉だった。少女がペパーの親がもう既に亡くなっていたことは噂好きの生徒から聞いたことだ。
「……どういうことだよ」
どうだっていいでしょと突き放す言葉を吐いた。寂しさから当たるなんて本当に最低だと少女は下唇を噛む。
学校最強大会とでかでかとした文字が躍るチラシを見る。日時や条件が書かれている。先生とも戦えるなんてと少しだけ感動を覚える。だがそれも一瞬のことだ。
あの生徒会長も走り回って出来た大会だと風の噂で聞いた。ずっと傍にいた幼馴染があの転校生と友達になった。少女にとってはそれ以上でも以下でもないはずなのに、胃の辺りがじりじりと炙られている。ただのやきもちだ。学校内で仲良し四人組と言われている四人を見る度、ちくちくと気持ちが尖っていく。それと同時に、少女は自分自身に嫌悪感を覚える。ペパーとはただの幼馴染だ。しかもついこの間まで特段関わることもしていなかった。虫のいい話だと言われたらそうだろう。
あ、と言う間もなくプリントが風に攫われた。プリントはそのまま滑空し、少し離れた所に引っかかった。目いっぱい腕を伸ばせば届かなくはない。少女は窓から身を乗り出して、腕を伸ばす。
「やめとけよ。前それで怪我しただろ」
ペパーの小言は少女の耳を通り過ぎる。確かに似たようなことは灯台であった。だがそれはまだ十歳にもなっていない時の話だ。
あと少しと腕を伸ばす。指先にチラシが触れた。だが摘まむには少し遠い。あと少し、あと少しと少女は身を僅かに乗り出した。それが悪かった。
身体を支えるために窓のへりに置いていた手が滑った。がくんと身体が前方へ傾く。悲鳴すらもあげられない。こんな時に限ってスマホロトムは机の上だ。少女の脳内で恐るべき速度で予測される結果が導き出される。少女は咄嗟に目をきつくつぶった。
強い力が少女の肩を後ろへと引っ張った。少女の足が倒れ込まないように反射的に半歩さがったが、身体は強い力に従い後方へ倒れ込む。世界が回る。大きな音がした。思っていたような強い衝撃はいつまでも無い。少女はそうっと瞼を開けた。世界が傾いている。心臓がどくどくと動いている。少女は浅い呼吸を繰り返して、倒れているのだと漸く理解した。
「っぶねぇ……」
耳元で独り言のような声が聞こえた。ペパーに抱きすくめられている。恐らく引っ張った後で咄嗟に抱き留めたのだろう。小さい頃にもそんなことがあった。ペパーの腕から抜け出そうとペパーの胸元に手をやり、力を込めた、筈だった。思ったよりも力を込めた筈なのにびくともしない。ベストがあるとはいえ、そんなに硬いものだったかと少女は驚く。ペパーの手が少女の髪をさらりと撫でた。本人はマフィティフ相手にするのと同じつもりだったのだろう。だがその手の造りは、手付きは、まるで知らない人のようだった。
前のときはわんわん泣いていた記憶しかない。けれど体形については自分自身とさして大差なかった筈だった。それどころか、少女の方が幾ばくか背が高かった筈だ。
急激に少女の顔が熱くなる。心臓が先程とは違った理由で早鐘を打っている。密着したからだから、心音が伝わっていないか少女は不安に思った。
ふう、と溜息が聞こえた。腕が緩んだ、瞬間に少女はペパーの上から退いて走って部屋から飛び出した。ペパーの戸惑ったような声が聞こえたが、少女は振り切るようにして走る。ありがとうもごめんなさいも何も言えていない。それでも少女はただただ走るしか出来ない。記憶の中のペパーは幼馴染の男の子だった。少女の家やあの灯台で遊んでいた男の子だった。友達であり、家族であり、大切な人だった。
少女は寮から飛び出た。冷たい風が少女の身体を撫でる。少女はふらふらと歩く。泣きたい気持ちに駆られた。それでも少女は嘗てのように大声で泣くことはしない。まだその気持ちに、名前を付けたくなかった。
2022/12/25
ペパーに新しい友達が出来た。ただそれだけ。
久し振りにペパーに会った。クラスも違う上に少女は自ら会いに行こうとしたことがなかったので、全く会わなかった。渡されたチラシを少女は見て、ペパーを見る。久し振りにゆっくり話でもしないかと切り出したのはペパーだ。ペパーは何処か吹っ切れたような顔をしていた。少女は自室にペパーを招き入れた。
少女の部屋は実家と比べると物が少ない。それでもずっと昔からいるポケモンのベットは部屋の隅にあった。その辺に座ってて、とペパーに言って少女は窓を開く。冷たい風が部屋の中に入り込む。貰ったチラシはどうやら手作りのようで、チャンピオンと転校生が持ち歩いているポケモンと、イーブイの絵が書かれている。あの仲良し四人組のかと直ぐに理解が出来た。
「なぁ、他のヤツも部屋に入れてるのかよ?」
友達を部屋に入れることは別に問題でないのに、お母さんみたいなことを未だ言うんだなと少女はぼんやりと思う。ペパーだって他の人を入れてるじゃないと噛みつきたい気持ちをぐっと抑える。なぁ、と咎めるような口調に少女は鬱陶しそうに顔を顰めさせた。
「ほっといてよ。私だっていつまでも一緒とは限らないんだから」
吐いた言葉はペパーを傷付ける為の言葉だった。少女がペパーの親がもう既に亡くなっていたことは噂好きの生徒から聞いたことだ。
「……どういうことだよ」
どうだっていいでしょと突き放す言葉を吐いた。寂しさから当たるなんて本当に最低だと少女は下唇を噛む。
学校最強大会とでかでかとした文字が躍るチラシを見る。日時や条件が書かれている。先生とも戦えるなんてと少しだけ感動を覚える。だがそれも一瞬のことだ。
あの生徒会長も走り回って出来た大会だと風の噂で聞いた。ずっと傍にいた幼馴染があの転校生と友達になった。少女にとってはそれ以上でも以下でもないはずなのに、胃の辺りがじりじりと炙られている。ただのやきもちだ。学校内で仲良し四人組と言われている四人を見る度、ちくちくと気持ちが尖っていく。それと同時に、少女は自分自身に嫌悪感を覚える。ペパーとはただの幼馴染だ。しかもついこの間まで特段関わることもしていなかった。虫のいい話だと言われたらそうだろう。
あ、と言う間もなくプリントが風に攫われた。プリントはそのまま滑空し、少し離れた所に引っかかった。目いっぱい腕を伸ばせば届かなくはない。少女は窓から身を乗り出して、腕を伸ばす。
「やめとけよ。前それで怪我しただろ」
ペパーの小言は少女の耳を通り過ぎる。確かに似たようなことは灯台であった。だがそれはまだ十歳にもなっていない時の話だ。
あと少しと腕を伸ばす。指先にチラシが触れた。だが摘まむには少し遠い。あと少し、あと少しと少女は身を僅かに乗り出した。それが悪かった。
身体を支えるために窓のへりに置いていた手が滑った。がくんと身体が前方へ傾く。悲鳴すらもあげられない。こんな時に限ってスマホロトムは机の上だ。少女の脳内で恐るべき速度で予測される結果が導き出される。少女は咄嗟に目をきつくつぶった。
強い力が少女の肩を後ろへと引っ張った。少女の足が倒れ込まないように反射的に半歩さがったが、身体は強い力に従い後方へ倒れ込む。世界が回る。大きな音がした。思っていたような強い衝撃はいつまでも無い。少女はそうっと瞼を開けた。世界が傾いている。心臓がどくどくと動いている。少女は浅い呼吸を繰り返して、倒れているのだと漸く理解した。
「っぶねぇ……」
耳元で独り言のような声が聞こえた。ペパーに抱きすくめられている。恐らく引っ張った後で咄嗟に抱き留めたのだろう。小さい頃にもそんなことがあった。ペパーの腕から抜け出そうとペパーの胸元に手をやり、力を込めた、筈だった。思ったよりも力を込めた筈なのにびくともしない。ベストがあるとはいえ、そんなに硬いものだったかと少女は驚く。ペパーの手が少女の髪をさらりと撫でた。本人はマフィティフ相手にするのと同じつもりだったのだろう。だがその手の造りは、手付きは、まるで知らない人のようだった。
前のときはわんわん泣いていた記憶しかない。けれど体形については自分自身とさして大差なかった筈だった。それどころか、少女の方が幾ばくか背が高かった筈だ。
急激に少女の顔が熱くなる。心臓が先程とは違った理由で早鐘を打っている。密着したからだから、心音が伝わっていないか少女は不安に思った。
ふう、と溜息が聞こえた。腕が緩んだ、瞬間に少女はペパーの上から退いて走って部屋から飛び出した。ペパーの戸惑ったような声が聞こえたが、少女は振り切るようにして走る。ありがとうもごめんなさいも何も言えていない。それでも少女はただただ走るしか出来ない。記憶の中のペパーは幼馴染の男の子だった。少女の家やあの灯台で遊んでいた男の子だった。友達であり、家族であり、大切な人だった。
少女は寮から飛び出た。冷たい風が少女の身体を撫でる。少女はふらふらと歩く。泣きたい気持ちに駆られた。それでも少女は嘗てのように大声で泣くことはしない。まだその気持ちに、名前を付けたくなかった。
2022/12/25
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