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Novel pkmn 今日はえいえんの最初の日(シンオウでウォロと再会/完結)
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tt5 !+さよならの練習を(男主とオフェンスが過ごす真夏の話/現パロ/完結)
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今日はえいえんの最初の日02

ウォロ
 ウォロは今まで座っていた椅子を{{ namae }}に譲り、自身はビールケースを逆様にさせて座った。ぐずぐずと泣きっぱなしの{{ namae }}にウォロはただ静かに背を擦ることだけをする。

「本当にごめんなさい」

 暫くして落ち着いたのか、{{ namae }}はウォロに頭を下げた。気にしないでくださいとウォロは笑って{{ namae }}の顔を上げるように促す。{{ namae }}はウォロから貰ったココアの缶を大事そうに両手で包むようにして、暖を取っている。泣きたくなってしまいそうなほど温かくて、{{ namae }}は浮かんだ涙を指で拭う。

「ところで、{{ namae }}さんはどうしてここに?」

 ヒスイで見たときと同じ表情でウォロが尋ねる。何も知らない場所でようやく見知った人と出会えたためか、{{ namae }}は何処かほっとするのを感じた。自ずと{{ namae }}の口角が上がっていく。

「時空の歪みに向かったら、空が裂けてて……そしたら……」

 その後の言葉を{{ namae }}は紡げなかった。ああ、とウォロは察したような声を上げ、気の毒そうに眉尻を下げている。{{ namae }}は俯く。ぼろぼろの靴が視界に収まる。今度藁沓でも作らないといけないだろうかと考える。
 今までどうやって生きてきたんですか、と尋ねられ、{{ namae }}は顔を上げる。素直にポケモンバトルでどうにか生きていることを答えた。この時代の戸籍が無いから他の仕事にはなかなか就けられないことを零せば、ウォロは益々気の毒そうな顔をして、己の口許を掌で隠すような素振りをする。そんな顔をさせるつもりはなかったのに、と{{ namae }}は申し訳ない気持ちになる。

「ウォロさんはシンオウでもお店をされてるんですね」
「ええ、やっぱり商いをしていると色んな情報が手に入りますので」

 にこっとウォロが人懐こそうな笑顔を浮かべさせる。{{ namae }}も釣られて笑った。ヒスイにいた頃と同じようにあちこち行っては商品を売っているのだろう。行く先々でウォロにとって興味のある分野の話を客としたりウォロ自身で調べたりしているのかもしれない。少しだけ想像して{{ namae }}は嬉しい気持ちになる。

「そういえば、ウォロさんも時空の歪みでこの時代に?」

 ショウちゃんからもう会えないって言われてたんです、と少女は補足する。ウォロは少し考えるような素振りをして、まあそんな感じですねと答えた。だからもう会えないと言ったんだ、と{{ namae }}は合点がいく。
 他愛のない話をしていると、やがて人の姿が疎らとなっていく。もうそろそろ店仕舞いですかね、とウォロがぽつりと呟く。{{ namae }}は慌てて立ち上がった。

「長居しちゃってごめんなさい、帰りますね」
「送りますよ。今どの辺に住まれてるんですか?」

 ウォロの質問に{{ namae }}はぎこちなく笑みを浮かべさせる。気持ちはありがたいがこれ以上負担になりたくない。大丈夫だと笑うとウォロが少しだけ傷付いたような顔をする。ジブンに言えないような場所なんですか、と低い声が{{ namae }}の鼓膜を震わせた。{{ namae }}は首を横に振る。

「私、は……格安アパートに運良く入り込むことが出来まして」
「ああ……戸籍、無いんでしたっけ……」

 繫華街の少し離れた路地裏にある、小さなアパートを{{ namae }}は思い描く。ただ寝るだけの部屋だ。行く当てもなく彷徨っていた{{ namae }}を恐らく見かねた大家が住まわせてくれたのだが、そのアパートの住民たちも{{ namae }}と同じように特別な事情を持っている女性ばかりだった。幸運だったなと{{ namae }}は事あるごとにしみじみとしている。
 だから大丈夫ですと{{ namae }}は笑った。踵を返してこの場から速やかに去ろうとする。その一歩を駆け出そうとした。

「{{ namae }}さん」

 腕を掴まれる。{{ namae }}はぎくりとした。ウォロ自身はきっと強い力で掴んだつもりはないだろうのに、{{ namae }}にとって自身の動きを封じるほどの酷く強い力だった。{{ namae }}はぎこちなくウォロを見る。いつの間にかウォロは自分の側に立っていた。ウォロの手がすぐに離れる。触れられていた所がじんと熱を帯びて外気に触れて冷めていく。

「すみません。ジブン、どうしても気になってしまって」

 いつもと変わらない柔らかい声、柔らかい表情。いえ、と{{ namae }}の声帯はそれきり呟いて震えることをやめる。大丈夫ですよと笑って走り去ればきっと良かったのに、{{ namae }}は何故だかそれが出来ないでいる。ずっと背が高い男の足から伸びる影は{{ namae }}をすっぽりと覆い隠してしまっている。ウォロが何かを話しているのと、{{ namae }}は何処か落ち着かず、上の空で相槌を打つ。どうして一瞬でも怖いと思ってしまったのだろう、と{{ namae }}は先程掴まれた腕をそうっと服の上から撫でる。

「――良かったら、ジブンの所に来ますか?」

 ウォロの言葉に{{ namae }}は動きを止めた。ウォロはにこにこと人懐こそうな笑顔を浮かべさせている。

「久し振りに出会えたことですし、ジブンはもう少し{{ namae }}さんとお話したいんです」

 それに、アナタが心配なんです、とウォロが申し訳なさそうに眉尻を下げさせる。{{ namae }}はそんなことないという代わりに首を何度も横に振る。

「じゃ、じゃあ……お邪魔します」

 舌を縺れさせながらも、{{ namae }}は言葉を紡ぐ。にこりとウォロが笑みを浮かべさせた。

2022/06/12
 ウォロは今まで座っていた椅子を{{ namae }}に譲り、自身はビールケースを逆様にさせて座った。ぐずぐずと泣きっぱなしの{{ namae }}にウォロはただ静かに背を擦ることだけをする。

「本当にごめんなさい」

 暫くして落ち着いたのか、{{ namae }}はウォロに頭を下げた。気にしないでくださいとウォロは笑って{{ namae }}の顔を上げるように促す。{{ namae }}はウォロから貰ったココアの缶を大事そうに両手で包むようにして、暖を取っている。泣きたくなってしまいそうなほど温かくて、{{ namae }}は浮かんだ涙を指で拭う。

「ところで、{{ namae }}さんはどうしてここに?」

 ヒスイで見たときと同じ表情でウォロが尋ねる。何も知らない場所でようやく見知った人と出会えたためか、{{ namae }}は何処かほっとするのを感じた。自ずと{{ namae }}の口角が上がっていく。

「時空の歪みに向かったら、空が裂けてて……そしたら……」

 その後の言葉を{{ namae }}は紡げなかった。ああ、とウォロは察したような声を上げ、気の毒そうに眉尻を下げている。{{ namae }}は俯く。ぼろぼろの靴が視界に収まる。今度藁沓でも作らないといけないだろうかと考える。
 今までどうやって生きてきたんですか、と尋ねられ、{{ namae }}は顔を上げる。素直にポケモンバトルでどうにか生きていることを答えた。この時代の戸籍が無いから他の仕事にはなかなか就けられないことを零せば、ウォロは益々気の毒そうな顔をして、己の口許を掌で隠すような素振りをする。そんな顔をさせるつもりはなかったのに、と{{ namae }}は申し訳ない気持ちになる。

「ウォロさんはシンオウでもお店をされてるんですね」
「ええ、やっぱり商いをしていると色んな情報が手に入りますので」

 にこっとウォロが人懐こそうな笑顔を浮かべさせる。{{ namae }}も釣られて笑った。ヒスイにいた頃と同じようにあちこち行っては商品を売っているのだろう。行く先々でウォロにとって興味のある分野の話を客としたりウォロ自身で調べたりしているのかもしれない。少しだけ想像して{{ namae }}は嬉しい気持ちになる。

「そういえば、ウォロさんも時空の歪みでこの時代に?」

 ショウちゃんからもう会えないって言われてたんです、と少女は補足する。ウォロは少し考えるような素振りをして、まあそんな感じですねと答えた。だからもう会えないと言ったんだ、と{{ namae }}は合点がいく。
 他愛のない話をしていると、やがて人の姿が疎らとなっていく。もうそろそろ店仕舞いですかね、とウォロがぽつりと呟く。{{ namae }}は慌てて立ち上がった。

「長居しちゃってごめんなさい、帰りますね」
「送りますよ。今どの辺に住まれてるんですか?」

 ウォロの質問に{{ namae }}はぎこちなく笑みを浮かべさせる。気持ちはありがたいがこれ以上負担になりたくない。大丈夫だと笑うとウォロが少しだけ傷付いたような顔をする。ジブンに言えないような場所なんですか、と低い声が{{ namae }}の鼓膜を震わせた。{{ namae }}は首を横に振る。

「私、は……格安アパートに運良く入り込むことが出来まして」
「ああ……戸籍、無いんでしたっけ……」

 繫華街の少し離れた路地裏にある、小さなアパートを{{ namae }}は思い描く。ただ寝るだけの部屋だ。行く当てもなく彷徨っていた{{ namae }}を恐らく見かねた大家が住まわせてくれたのだが、そのアパートの住民たちも{{ namae }}と同じように特別な事情を持っている女性ばかりだった。幸運だったなと{{ namae }}は事あるごとにしみじみとしている。
 だから大丈夫ですと{{ namae }}は笑った。踵を返してこの場から速やかに去ろうとする。その一歩を駆け出そうとした。

「{{ namae }}さん」

 腕を掴まれる。{{ namae }}はぎくりとした。ウォロ自身はきっと強い力で掴んだつもりはないだろうのに、{{ namae }}にとって自身の動きを封じるほどの酷く強い力だった。{{ namae }}はぎこちなくウォロを見る。いつの間にかウォロは自分の側に立っていた。ウォロの手がすぐに離れる。触れられていた所がじんと熱を帯びて外気に触れて冷めていく。

「すみません。ジブン、どうしても気になってしまって」

 いつもと変わらない柔らかい声、柔らかい表情。いえ、と{{ namae }}の声帯はそれきり呟いて震えることをやめる。大丈夫ですよと笑って走り去ればきっと良かったのに、{{ namae }}は何故だかそれが出来ないでいる。ずっと背が高い男の足から伸びる影は{{ namae }}をすっぽりと覆い隠してしまっている。ウォロが何かを話しているのと、{{ namae }}は何処か落ち着かず、上の空で相槌を打つ。どうして一瞬でも怖いと思ってしまったのだろう、と{{ namae }}は先程掴まれた腕をそうっと服の上から撫でる。

「――良かったら、ジブンの所に来ますか?」

 ウォロの言葉に{{ namae }}は動きを止めた。ウォロはにこにこと人懐こそうな笑顔を浮かべさせている。

「久し振りに出会えたことですし、ジブンはもう少し{{ namae }}さんとお話したいんです」

 それに、アナタが心配なんです、とウォロが申し訳なさそうに眉尻を下げさせる。{{ namae }}はそんなことないという代わりに首を何度も横に振る。

「じゃ、じゃあ……お邪魔します」

 舌を縺れさせながらも、{{ namae }}は言葉を紡ぐ。にこりとウォロが笑みを浮かべさせた。

2022/06/12
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